私の学会発表方法の極意とその反響

このレベルで文書やpptがかけるようになると、 プレゼンテーションしたとき、聴いている人がのけぞって感動してくれる時があり、更に楽しくなってくるのです。30歳くらいからでしたが、パリにある国立研究所に招待されて100名を超える聴講者の前で生命・非生命の粒子分裂理論(Cyto-fluid dynamics theory)について講演した際、その直後に実力者(米国の主力の国立研究所の研究者)が「Really Enjoyed!」といって握手を求めてきたこと、米国デトロイトで自動車用エンジンの数値解析について発表した直後、10名ほどの企業のマネージャーや研究者等が私の周りを囲んできて質問ぜめにあったこと、韓国ソウルで統計流体物理学(乱流遷移現象の理論的考察とその数値解析)について発表直後に10人程のソウル国立大学の学生が私の周りを囲んできて質問ぜめにあったこと、サンフランシスコで新たな超高効率エンジンについて発表直後に、航空宇宙エンジンの実力者が「面白かった。一緒に飲もう。」と言われ、その後、たびたび、一緒に食事をしたこと、ヨーロッパで「脳とエンジンの相似性」の研究について発表中に、のけぞりながら口を大きく開けて感動した方と、発表後の数日、一緒に食事をしたこと、 発表した直後にJournalに推薦したいと言われたこと、 などがありました。なお、のけぞって感動してくれる人がいた場合は、スライドはそのままで20秒程度の間、黙って静止し、感動を維持させます。脳にしっかり記憶してもらうためです。ただし、これは発表時間が20分以上あるような学会発表の場合であり、しかも20秒静止するのは発表中で一回だけにしています。静止した時間をつくるのは、20分もの時間、聞き続ける人達が疲るだろうと思って、節目で「休憩」をいれる意味もあります。私の場合、40歳近くからは、発表前に、感動してくれる可能性がある箇所を予測できるようになり、どこで20秒間止めるか、あらかじめ決められるようになりました。ただし、就活の面接ではやらない方が良いことが多いと考えています。休憩を入れる時間はお互いないからです。

もちろん、日本の学会発表でもいくつかありました。新エンジンの発表後、100人を超える聴講者がいる前で、質問する冒頭に「敬意を表します」で話始めた人がいたこともあります。

もちろん、嘘を言って点数を稼いではならないし、表現の仕方は注意が必要で、インパクトの高い内容のときほど、発表の最後の今後の課題も適切に述べる必要があると思います。今後の課題がしっかりしていると、更に評価されることもあります。また、どんなに独自性が高い内容であっても、従来の科学・技術・哲学等全くなしで、新たな成果を生み出せるものではありません。なので、プレゼンテーションの冒頭で、それまでの研究事例などの要点の紹介をしてから、それとの差異を説明していくことも大切です。ここをおろそかにして「自分の成果のが独創的である」という主張ばかりをして、自分の研究成果の前例があった場合、どうなるか、考えてみてください。なので、「世界共通言語」である特許を出すというのは、独自性があるかないかを確認する点でも価値があります。

逆に、敵対的で厳しい質問をどんどんしてくる人もいました。このような時、落ち込む必要は全くありません。提示した成果が本当なら素晴らしいことだ、と言っているのと同じだからです。聞いている人にインパクトのある内容だったから、質問してくるわけで、インパクトが弱ければ質問してきません。しかも、質問された事項の中には、ときどき、自分がそれまで気が付かなったこともあり、それはその後の研究のヒント・課題をくれたことにもなるのです。

こう書くと、プレゼンテーション力には英語が大事、と思うかもしれません。しかし、私は、ヒアリング力は高くはなく、学生さんの平均点くらいだと思います。ヒアリング力が不足していると質問に答えられないのではないか、と思うかもしれませんが、そうでもありません。研究成果をだせるくらいであれば、専門用語は大体、わかっていることが多いからです。TOEICなどのヒヤリングの点数だけでははかれないと思っています。 限られた時間の人生を考えるとそれ以上に英語力をあげる時間があったら、研究の中身に時間を割く方がベターという考えです。死は全ての人間に必ず訪れるからです。(もちろん、ヒアリング力をどこまであげるかは、人によって変わってよいと思います。今の若い人達は、小学生の頃から英語に触れる機会が多いので、あまり、心配はいらないかもしれませんが。)なお、 中学2年生の夏休みのひと月、家でカーペンターズのレコードをすりきれるほど聴きながら一緒に「はもった」ので、発音は良いほうだと言われます。 あとは度胸の問題です。 家内には「根拠のない度胸がある」と言われますが、実際は臆病な面もけっこうあります。「二国語堪能+独創性」は難しいと思っているので、その意味で学生にも多くは求めません。 日本語で答えられるようになってさえいれば何とかなる。「パードン」と言ってもう一度、質問を言ってもらっている間に、答え方を考えれば、まずはよいと言っています。 また、文書・論文は国語と同じで苦手と思う人が理科系には結構いると思います。しかし、良い文書かどうか、は論理性できまることが多いです。学生の中には、わざわざ、辞書をひきまくって、あまり使われない英単語をたくさん入れて書く人がいますが、それでは、多くの人が読めない、理解できなくなる。それでは結局、良い研究をしても世の中のためにならない。これは、ノーベル賞を受賞した方が書いた生命科学の本(バイブルのひとつ:M.Eigen, Steps towards Life)を読んで感じたことです。 多様な文型や多彩な表現で飾るのは、いくつか論文をPublishできてからでもよいと考えています。

つまり、理工系の人はやればその分野での文書もかけます。私の高校の国語の先生がもともと数学が好きだった方で、「数学ができれば、センター試験の国語は大丈夫」とも言われていました。

なお、プレゼンテーション能力よりも、提案の中身の質が重要であることはいうまでもありません。生命と非生命の粒子分裂理論 (Cyto-fluid dynamic theory, Gourdron theory) ・ 脳とエンジンの相似性の理論(Engine for cerebral development)・予知医学(Prognostic medicine)・燃料を選ばすに大幅断熱+低騒音型高圧縮比のエンジン(Fugine)に対しては、発表直後に感動してくれた方々がおられました。それは、新規性・独自性・有用性があったからだと思います。 一方、放射線を出さない弱素粒子崩壊のエンジン(Fusine)・生命の設計図の新たな解読(Onto-biology)・人工天才脳(Artificial Geneus)の提案に対しては、まだ、そこまでのレスポンスはありません。しかし、直ぐには理解ができないくらいの仕事でないと、未来を大きく切り開くことはできないかもしれないのです。これは、ガロアの仕事を知った時から思ってきたことです。

最近、研究室の学生と、就職後の配属面接のことでやりとりしました。なので、私の30年ほど前の入社面接のことを少し、かいておこうと思います。配属時の面接は、私の人生に大きな影響を与えたし、若い人にも重要だと思うからだ。

私は、配属面接で、「脈動するレシプロエンジンは、空気を吸ってCO2を出すという点で、私達の肺と数学的に相似であると思っている。このような視点(流体物理学の観点)から10年間はエンジンの研究開発をやりたい。その後、排気ガスの人体影響の研究をイメージしている。できれば、自動車にも関係した生命研究を行いたい。」と述べた。面接官の表情を見ていた感じでだが、好印象を与えたと思う。そして実際、10年後には、人工知能の特許も出願し、大学に移ってからも、更に進んだ人工知能の特許を出している。

2020年12月初稿、2021年2月改訂、